2008.04.18(金)『GAME』が出たときの感想  // Friendly Fires - Paris

[20080418]正直なところ、最近の日本のポップミュージックの平均点がどれくらいのものか、あんまり想像がつかない。じゃあ日本以外は知ってるのかというと、そんなこともないんだけど。と、まぁこんな感じでよければ、いってみよう。
“GAME”は、かなり高性能のポップ・アルバムです!!! かっこよくてかわいい音。コピーでは「完全フロア対応」などと煽っていたが、いやもちろんフロアで使えるだろうけれど、このアルバムの魅力をクラブミュージックという枠で処理してすませるのは、かなり勘違いした奴だけなんじゃないか。

ときには「捨て曲なし」とまで評されてヨイショされる中田ヤスタカにとって、まさに今回こそは勝負時だったはず。これほどのタイミングでのリリースは、 Perfumeにとっても中田にとっても、二度とないくらいの状況でしょう。capsuleを中田は「提案」としてのポップスと位置づけ、Perfume のような仕事は「目処がたっている音楽」と言っていたこともある。しかし、capsuleの場合、おそらくはある程度の固定ファンが確保されているだろうし、取り巻く環境が急変するということも考えにくい。これに対してPerfumeでは、オーディエンスの層がどんどん更新されてきており、ビジネス上のプレッシャーもはるかに強いことは容易に想像できる。しかも、実質上「いい曲作って当たり前」みたいなえらく高いハードルを差し出してしまっているファンからは、無難にまとめることなんて求められていない。彼の志向性もあわせて鑑みれば、このような諸条件の下で、中田は実にキッチリとした答えを出してきたと言っていいと思う。個人的には、期待通りの出来(期待以上ではなかった、とも言えなくはないが)。最後の曲はもっと人力を導入して作ってもいいんじゃないかと思いますが。なんならわたくしめがw 
以前ワタシは「パフュームの一番おもしろそうな時期はぼちぼち終わりかなって気はしないでもない」って書いたこともあって,それはそれで必ずしも暴言ではないと思うけど、今回のアルバムで、これからがさらに楽しみになってきました。

Perfumeの音楽においてPerfumeの3人はいわば「お人形」なのかな、と思っていた。ライブ映像などをいろいろ見たりするうちにその印象はかなり変わってきたものの、やっぱり実際のレコーディング・制作ではただ指示されたとおりのことをするお人形みたいなものなんじゃないか、と。作詞からマスタリングに至るまで一人でこなす中田が制作の要なのは当然だ。が、すばらしい流れをもったこのアルバムを通して聴いて感じるのは、中田とPerfumeというこの4人だからこそこういう音が生み出されたんじゃないか、ということ。そう感じる細かい理由をここでごちゃごちゃ挙げてもしょうがないけど、細かい理由をごちゃごちゃ挙げてもいいくらい(?)、そういう気がする。バカみたいにインタヴューを読み漁ったからそのへんの話でいくと、Perfumeの3人はこのアルバムについてほんとうにたくさん、熱心に語ってます。それだけ、自分たちがしっかり関わって作った、っていう意識、実感があるんだと思う。
匿名的・無機質に処理された声はPerfumeの特徴としてつねに語られるし、それが中田プロダクションに共通する手法だということはよく知られている。このアルバムでも、処理の仕方の振幅がわりと目立ってきたとはいえ、おおむねその特徴は一貫しています。その一貫性こそが、逆に、Perfumeの声のキャラクターを表現することになっているように感じられる。これはやはり、これまでのPerfumeの軌跡があったうえで、寄せ集めではないフルアルバムとして“GAME”が作られたことによってクリアになったんだと思います。古くからのファンにとっては、そんなのはわかりきったことかも知れないけど。
たとえば、映画を語ろうというのなら、監督のことだけってわけにはいかない。まして、それがいい映画なら。そういうことですね。



・2008年04月18日



さてお話は変わって

Friendly Fires - Paris