⊿ [トライアングル] / Perfume ここ数日の印象(の変化

意欲作だと思う。
確立したフォーマットに安住しないチームPerfumeの姿勢が窺われる。
じっさい、今回はセールス面での心配は不要だっただろうから、そういう時に挑戦的になってもらわなきゃ。


うーむ、好みはほんとにひとそれぞれなので何とも言い難いのだが、現時点でどう受けとめたものか少し困ってしまうのはなぜか。このアルバムを「過渡期の作品」と評するのは簡単だが、次作での何らかの達成を堪能しないうちに「過渡期」などと言うのは明らかに間違っているから。じゃあ「過渡期」っていうことばを使わなきゃいいだけの話じゃないですか。まったくそのとおり。

楽曲については、前作に比べてもさらに幅が広がっており、そこが最大の聴きどころだということになるのだろう。その一方で、これまでのPerfumeの武器であった尋常ならざるキャッチーさはいくらか後退しているように感じる。

正直に言うと、ちょっと納得のいかない仕上がりではある。
『GAME』では明らかにマジックが起こっていたんだから、今度のアルバムにそれを期待できるはずはない… そういう心構えをしていたつもりだったが、けっきょくかなり期待してしまっていたということなんだろう。だからこれはかなりの部分まで手前勝手な感想にすぎない。とはいえ、それだけ期待させてしまうほどの存在にPerfumeはなった、ということでもある。

個人的には、「Kiss and Music」のような曲は好き。しかしこういうのが好きだからこそ、不満が残らなくもない。それは他の曲についても同様。aerodynamikさんのご意見はワタシの当初の感想に近いかな。シングル3曲についてはもっと高評価でもいいのではと思う点を除けば。参考までに→ http://d.hatena.ne.jp/aerodynamik/20090707/p1


ようするに、どうも仕上がりがハンパなんじゃないかという印象を拭い切れなかったわけなのだ。
これは中田ヤスタカの限界云々ということではなく、現にPerfumeがいろいろな面で変化してきているから、変化の真っ只中にいるからなんだろう。そのことによって、大げさに表現すれば、中田ヤスの制作体制/態勢が動揺してもおかしくないのではないか。「願い」が収録されるに至ったいきさつや歌い方の変化などの情報にふれると、そんなふうに邪推してしまう。その影響で余計な音が多くなってしまったのでは、なんていうのは完全に妄想。
もちろん動揺といっても、制作面でマズい事態が起こったはずだ、なんてことを意味したいわけではない。Perfume3人の発言を見る限りでは、どうやら制作プロセスにおいて3人とヤスのコミュニケーションが増えているらしい。これまでも、Perfumeの3人とヤスの“顕在的ではない”相互作用がPerfumeの楽曲の質にとって決定的だったはずだが、このコミュニケーション上の変化はやはりこれから大きな意味をもつんじゃないかと考えざるを得ない。


でも、ちょっと自分でも驚くのだが、聴き込むうちに、いい感じに馴染んできつつあるような気もする。


そんなわけで、これからのPerfumeにあらためて期待したい。期待してもいいはずだ。次のアルバムでは、「もう大人なんです」なんていうアピールは必要ないだろうから。ヤスにしても、「大人」なハウス/クラブミュージックなんて向いてないような気が。 しません?